1646人が本棚に入れています
本棚に追加
「…前の男と付き合ってる時、どうしても幸せそうに見えなかったから、さ。いや、恋愛のカタチなんて色々あるわけだし、俺が勝手にそう感じてただけなんだけど。」
「……」
「…ごめん。」
「…いいよ。うん、幸せじゃない、って事はなかったけど。好きだったしね。でも、ちょっとムリしてたかも。」
「…うん。」
「今なら言いたいこと言えると思うけど、ね。」
はは、と私が笑って言ったのに、北島は、
「…それはどうかな？」
って、困ったような顔をした。
「何で？」
「性格…？」
ちょっとムッときた。
「ていうか、社食でする話？」
「きっかけを作ったのは田上だろ？」
「…そうだけど。」
…こうやってポンポン会話が出来るのも、友達、だからだ。
「だから、さ。藤野さんなら田上を大事にするんだろうな、って思っただけ。…本当は、笑っている田上の横にいるのが俺だったらいいと思ってるけど。」
最後の言葉を真剣な顔で言った北島に、やっぱり何も言えない私は、あの頃から何も変わっていないんだろうか。
・
最初のコメントを投稿しよう！