13 雪肌

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課長との食事から帰ってきた風間さんは、もう一度売り場に顔を出してから帰っていった。 凪子さんのことにはもう触れず、いつものように皆に「よろしくね」と笑顔で声を掛けて。 課長は…少し疲れたような顔をしていたが、次の日からはまたいつもの落ち着いた様子で、私もまたいつもの流れで忙しくも順調に毎日の仕事をこなしていたのだけれど。 今日は朝から何となくバタバタしていて、こういう日は気をつけないと何かやるんだよね、などと考えながらが却って悪かったのか、 商品を取りに急ぎ足でバックヤードに入った私が「キャッ」と声を出した時にはもう遅くて、 ダンボールの箱を高く積んだ台車を避けきれず、肩から顔にかけてを勢いよくぶつけてしまった。 「わっ、すみません、田上さん。」 焦った声でダンボールの陰から顔を出したのは、紳士服売り場の一年生。 「だ、大丈夫ですか?」 「…大丈夫よ。」 ちょっと痛かったけれど、そう答えた時、足元でカシャンと音がして、かけていたメガネに違和感。 慌ててメガネを押さえて床をみると、やっぱりレンズが落ちていた。 「あーっ、どうしよう。」 狼狽えた声を聞きながら急いでレンズを拾う。 「あ、大丈夫、大丈夫。すぐ直るから。」 外れてしまった小さなネジも見つかって、私は一年生君に気にしないように言いながらも積み過ぎを注意して。 一つダンボールを下ろして頭を下げつつ台車を押していく背中を見ながらため息をついた。 ・
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