13 雪肌

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なんて、また思考が逃げに入ろうとしている自分に苦笑い。 気を取り直して一歩足を動かした時、私に気づいたらしい想さんがパッと立って入り口に向かって駆けてくるのが目に入った。 「鈴さん。」 ドアを開けて私を中へと促す笑顔が私を安心させてくれる。 「こんばんは。失礼します。」 立ったままで私を見てる本社の方だという女性にお辞儀をすると彼女も会釈を返してくれた。 「あの、想さん、お仕事の邪魔じゃないですか?」 「はい。もう終わりましたので。」 そう言った想さんに呼びかけた、少し高めの、その容姿にぴったりの綺麗な声。 「室長。こちらがお待ちになっていたお客様ですか?」 「…ええ。そうですが。」 その答えを聞いたその女性は、少し近付いて私の前に立ち、にっこりと微笑んだ。 …可愛い。 これだけ近くなれば流石にその顔立ちもハッキリ分かる。 大人っぽいお化粧をしているけれど、素顔は可愛らしい感じなのだろうと思った。 「四月から室長の下で働く事になっています、足立聖良と申します。」 そう言ってお辞儀をされて、内心戸惑う。 私の名前を言う必要があるんだろうか? でも名乗られたなら返すのは当たり前の事だから、 「田上鈴です。」 名前だけ言って、私ももう一度お辞儀をした。 ・
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