13 雪肌

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その後は淡々と、メガネの調整をする想さん。 その間、時折足立さんが私に話しかけてくる。 「田上さん、お仕事は何をされてるんですか?」 「このすぐ近くのデパートで働いています。」 「メガネはいつもこのお店で?」 「はい、就職してからずっとお世話になってます。」 「それはありがとうございます。」 「いいえ。いつも親切にしていただいてます。」 「お年を伺ったら失礼でしょうか?」 「…今27です。」 「私より一つ上ですね。」 …笑顔で対応。 本当はちょっとイラッときているけど。 大丈夫。 理由は分かる気がするから。 「足立さん。お客様に失礼ですよ。」 「あっ、すみません、室長。」 「鈴さん、…これでどうですか?」 想さんがすっとかけてくれたそれは違和感なく。 「あ、いい感じです。これで大丈夫だと思います。」 ではきれいに洗いますね、と想さんがカウンターの奥に入った時、また足立さんが話しかけてきた。 「あの、田上さんは室長と親しい関係なんですか?…お客様なのに名前で呼び合ってるのは何故ですか?」 少しずつ感情的になってきている声。 「…それは。あの、足立さん、それはお答えしなければいけない事でしょうか?」 …ああ、こういうの苦手なのに。 「…足立さん。」 戻ってきた想さんの声は静かだけれど苛立ちを含んでいた。 「だって、想ちゃん。」 ・
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