13 雪肌

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キッチンに立つ背中に問いかける。 「あの、足立さんは…?」 「少し話してからタクシーに乗せました。」 「…大丈夫でしたか?」 私が心配する必要はないのかもしれないけど、想さんに手を引かれて店を出る時見た彼女は多分、泣いていたから。 振り向いた想さんは、「はい、大丈夫だと、思います。」と言いながら歩いてきて、両手に持ったコーヒーカップをソファの前のテーブルにコトンと置いた。 「彼女ももう、大人ですから。」 そう言って頷く想さんは、まるで自分に言い聞かせているようだ。 暫く黙ったまま二人並んでコーヒーを飲む。 口を開いたのは想さんで。 「何でも聞いて下さい。」 微笑んで、でもちょっと困ったように。 「あの、」 「はい。」 「今日は店長は?お休みだったんですか?」 「え?、あ、はい、いえ、用事があると言って、7時頃に先に帰りました。」 拍子抜けしたように答える想さんの表情はレアかもしれない。 「想さん。」 「はい。」 「室長って…?」 「あ、え、はい…」 私の小さな悪戯心に気付いたのか、想さんは「鈴さんは…」と呟いてクスッと笑った。 悪戯というより、意地?強がり?で、本当に聞きたい事は少しだけ後回し。 でも想さんが笑ってくれたからいいかなと思う。 ・
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