1644人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
想さんの言葉使いが丁寧だから、自然とこちらもそうなってしまう。
「それで、僕も誘われたのですが、ご一緒してもいいですか?」
何故そんな申し訳なさそうな顔をするのかがわからない。
「もちろんですよ。」
「良かった。…焼き肉だそうですよ。」
想さんは私がお肉大好きなのを知っていて、明らかにテンションが上がった私の顔を見てニッと笑った。
「それでは…。お仕事中すみませんでした。また後ほど。お待ちしています。」
「はい。」
レジにいる菜々子ちゃんに会釈をしながら向きを変えた想さんは、エスカレーターの方へ歩いていった。
少し猫背な後ろ姿を見送っていると、反対側から貝塚課長が歩いてきて、二人がすれ違う。
多分課長が「いらっしゃいませ」と声をかけたのだろう、想さんの頭がペコリと動いた。
課長がこっちを見る前に私は慌ててレジの方へ…。
思わず避けてしまった。
…昼に飛び込んでしまったのは、朝しっかりと観察していたあの胸だったんだ。
・
最初のコメントを投稿しよう!