2 その日

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想さんの言葉使いが丁寧だから、自然とこちらもそうなってしまう。 「それで、僕も誘われたのですが、ご一緒してもいいですか?」 何故そんな申し訳なさそうな顔をするのかがわからない。 「もちろんですよ。」 「良かった。…焼き肉だそうですよ。」 想さんは私がお肉大好きなのを知っていて、明らかにテンションが上がった私の顔を見てニッと笑った。 「それでは…。お仕事中すみませんでした。また後ほど。お待ちしています。」 「はい。」 レジにいる菜々子ちゃんに会釈をしながら向きを変えた想さんは、エスカレーターの方へ歩いていった。 少し猫背な後ろ姿を見送っていると、反対側から貝塚課長が歩いてきて、二人がすれ違う。 多分課長が「いらっしゃいませ」と声をかけたのだろう、想さんの頭がペコリと動いた。 課長がこっちを見る前に私は慌ててレジの方へ…。 思わず避けてしまった。 …昼に飛び込んでしまったのは、朝しっかりと観察していたあの胸だったんだ。 ・
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