3 ルックメガネ

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秋の宵の風は思いの外冷たくて、首を竦めながら大通りをひとり急いだ私は、ルックメガネのショーウィンドウの明るさにホッと息を吐いた。 「…こんばんは。」 「あ、鈴ちゃん。いらっしゃい。」 短髪に黒縁のメガネを掛けた店長の磐田順也さんはいつもの人懐っこい笑顔で迎えてくれた。 私の友達、笙子の旦那様。 笙子は目鼻立ちがハッキリした美人で、性格もかなりハッキリしてる。 店長が見初めたのかと思っていたら、笙子の方も最初からその笑顔と穏やかな雰囲気に惹かれたらしい。 半年位付き合って結婚したのが二年前だ。 「お疲れ様。笙子は裏にいるけど、まずはメガネだよね。」 「ちょっと待ってて」と店長はカウンター奥に声をかける。 「…想! 鈴ちゃん来たよ。」 奥から小さく「はい」と返事が聞こえて、ひょっこりと想さんが顔を出した。 「いらっしゃい、鈴さん。」 今はもう慣れたけど、想さんの優しい笑顔は眩し過ぎるな~と思う。 もちろん私もこの笑顔、大好きなんだけど…。 ・
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