3 ルックメガネ

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この時っていつもちょっと体が固まる。 近付くし、耳元をじっと見られるのは微妙に気まずい感じ。 ましてや相手が想さんだと、なおさらで。 「長さはいいみたいですね。」 「結構年季が入ったフレームだから少し開いて緩くなっちゃったのかも。」 「そうみたいですね。調整しますね。」 そう言いながら想さんの長い指がスッと私のメガネを外した。 「あ…」 一瞬閉じた目を開けると想さんの綺麗な顔が目の前にあった。 「このメガネ、鈴さんに良く似合ってますね。…以前にここで?」 「はい。しばらく仕舞っておいたんですけど…」 4年位前に作ったそれは、本当にシンプルなフォルム。 黒の細いフレームは柔らかい曲線の楕円形。 ホント普通のメガネなんだけど、すごくかけ心地が良くて好きだった。 「すーずっ!」 「しょーこ。」 「久しぶり~」 裏の事務所の方からお店に入ってきた笙子と、高校時代からのノリでハグハグすると、閉店の支度をしている店長と想さんに笑われてしまった。 「なんだか妬けるな~」と冗談混じりの店長は笙子から「順也さんは帰ってからね。」と言われて固まっていた。 結婚して二年経っても仲の良いふたりの関係が垣間見えて思わず微笑んでしまう。 ・
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