フレーム

1 日常

「それもあるけど、基本、メガネが好きなんだよね、私。」

…そう、好きだし、掛けてると安心出来る。

「みたいだな。何個持ってんだ？」

「ん～、今の度数のは4個かな？」

買っておいた缶コーヒーを開けて一口飲む。

「そんなに必要？」

「だって、場所や、服装とかに合わせたいし、その日の気分もあるし。」

「ファッションアイテムも兼ねてるんだな。」

「ん、そんな感じ。今はフレームもシンプルなのから飾りが付いた可愛いのまで色々あるから楽しいんだよね。」

そう言いながら私はテーブルに置いていたメガネをクリーナーで拭いて照明に翳す。

レンズが綺麗になっているのを確認して掛けると、視力と乱視が矯正されて周りの様子もはっきり見える。

「そのメガネもよく似合ってるね。」

「…え？」

右隣から突然声が落ちてきた。

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