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私はマッコリの酔いで少し回転が遅くなった頭で考える。
「…多分、北島だと思う。」
「北島って聞いたことあるな…。」
笙子の呟きを余所に、私は想さんの言葉を否定した。
「違いますよ。友達です、飲み中心の。想さん、やっぱり目立つから、気になったみたいです。」
「…そうですか?」
含んだ言い方に何となくむっとして
「そうですよ。もう四年もずっと友達なんですから。」
と返すと、想さんはクスッと笑ってグラスに残っていたビールを飲み干した。
四人で食べて飲んで満足して席を立った頃には10時を疾うに過ぎていた。
奢りだという店長に、それでは悪いからと少しずつだけどお金を渡して、想さんと私は少し離れた所に立っていた。
「…あの、」
想さんに声が掛けられる。
近くのテーブルにいた女の子たちだ。
大学生くらいかな?可愛いな。
「ルックメガネの方、ですよね?」
「…はい。」
きゃあ、やっぱり。と喜ぶ彼女たち。
そっか、有名になってるんだ…と見上げると目があった想さんは困り顔。
「…あのっ、それでこちらは、」
えっ?私…?
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