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「……?」
閉じていた瞼越しに何かが揺れた気がしてふっと目が覚めた。
その正体はカーテンの隙間から差し込む朝陽だったようで、眩しさに体の位置をずらそうと身じろげば、長い腕にきゅっと引き寄せられる。
「…想さん?」
小さく呼んでみても返事がない。
まだ眠っているのかと顔を覗こうとしたら、乱れているだろう髪に鼻先を埋めてくるから動けなくて困りつつもそのまま体の力を抜いた。
想さんの体温は漠然と思っていたより高めで、こうして肌を合わせていればとても温かい。
想さんと付き合い始めて半年が過ぎて、最初は照れくささと緊張で迎えた二人の朝も今は、この温もりの幸せを全身で感じてる。
ふと凪子さんの事を思う。
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