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サイドミラーに映っていた想さんのシルエットが消えて、私は大きくため息を吐いて助手席のシートに体を預けた。
「どうしたの?」
「んー、何か今日は色々あって長い1日だったなぁ、と思って。」
「色々って?」
「…今度話すね。」
「まぁ、いいけど。」
そう言うと笙子は話題を変えてきた。
「そういえば、さっき話に出てた北島さんって、あの川口先輩と拗れた時の?」
「ん?そうだけど。でも北島は悪くないし、第一…先輩との事に自分が関わってたなんて分かってない筈だよ。」
川口先輩は私の元カレ。三年位前に付き合ってた。
大好きだったけど、私から別れを切り出した。
同じ高校の2学年上だった先輩…。
「そっか、先輩の事は知らないんだ。その北島さんとは今も仲良いの?」
「うん、同い年で同じフロアだしね。飲み仲間。それに今月から北島も主任になったんだ。」
「へえ…。後さ、気になったんだけど、想さんに感謝してるって?」
「あ、うん。」
それも先輩との過去の恋絡みなんだけど…
やっぱり想さんも、その事は知らない。
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