1 日常

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「あ、貝塚課長。飯野課長も、お疲れ様です。」 北島の少し焦ったようなトーンの声が挨拶する。 横を向いた私の目にまず映ったのは、グレーのスーツの袖からいい感じに見えている白いワイシャツのカフス、そしてお皿が乗ったトレーを持つ少し骨ばった手と長い指。 …こんな手してるんだ、と思いながら、椅子に座った相手の顔を確認して私も挨拶する。 「お疲れ様です。」 「お疲れ様。」 少し笑った目尻にシワが寄って雰囲気が変わる。 ……。 ついさっきまで販促会議に一緒に出ていた直属の上司、3課の貝塚…秋生?課長。そして向かい側は2課の飯野課長。 名前に自信がないのは、貝塚課長がこの秋の異動でこの支店に来てからまだ二週間程しか経っていないからだ。 ちなみに私の前にいる北島も今月から主任に昇格し、初めて一緒に会議に出席していた。 北島と私は同い年だが、高卒入社で8年でたまたま主任になった私に比べ、大卒の彼は4年半で主任に。 やっぱり大卒は違うのかなぁ、とふと思ったりするけれど、仕事が出来る北島だから遅いくらいなのかも? …… 「…田上さん?」 ・
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