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それは大変だね、と言った後、質問への返事をする。
「…してないよ。」
先輩と別れた後、どうにか立ち直ってきて、誘われて何度か合コンなるものにも出てみたけど…
―メガネ女子?ムリ。
…偶然聞いた笑いを含んだ声。
―メガネってそそられるよね?
…アナタをそそる為にメガネかけてる訳じゃ無いんですけど。
なかなか良い出逢いもなく今に至る。
「実はちょっと心配してるんだけど…。トラウマみたいなのになってないかって。」
ハンドルを握る笙子の横顔は真面目で、本当に心配してくれてるんだなと思う。
「大丈夫、と思う、多分。…あの時はもう心が受け付けなかったんだと思う。」
こんな話は正直恥ずかしいけど。
「私が、そうしたい、と思える人となら、大丈夫と思う、よ?」
「…うん。」
「なかなか出逢えそうも無いけど。」
自嘲気味に言う私に、笙子がチラリと視線を投げる。
「想さんは、違うの?」
答えに詰まる。
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