1 日常

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…あっ、いけない。 私は転がっていく思考を慌てて止めて、課長に向けたままだった視線を自分の手元に戻す。 「どうかした?」 「…いえ。」 「あ~、課長。気にしないで下さい。田上って、仕事の時以外はしょっちゅうボーっとしてるんですよ。」 …あんまりフォローになってないよ、北島。 「へぇ、そうなんだ?そんな風に見えないけど。」 課長が面白そうに私の顔を見ているから、 「…仕事はしっかりやりますので。」 取り敢えずそう返して、それではお先に、と席を立つ。 「はは、よろしく頼むよ。」 「俺も行くよ。」 北島が立ち上がると、課長の声が私たちにかけられた。 「あ、二人とも、さっきの会議で出てた販売計画書、遅れずに提出してください。」 仕事モードの声。 今それ言いますか?食べたばかりで胃が痛くなりそう…。 「はい。」 「わかりました。」 社食を出た北島は化粧室に寄ると言う私に「じゃあな」と手を上げて自分の持ち場に戻っていった。 ・
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