5 動き出す

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あっという間にカレンダーは11月。 紅葉も進んで、遠くに見える山々から吹き下ろす風とビル風がダブルでカラダを冷やす駅前の通り。 この前笙子に「頑張る」と言った仕事の事で、ズンと落ち込んでいる私に、秋の終わりの風は尚更冷たく感じるのかもしれない。 「主任だけのせいじゃないんですから、そんなに落ち込まないてくださいよ。」 菜々子ちゃんが女児用のジャケットをハンガーに掛けながら言ってくれる。 「でもね~、」 先月の売上の達成率が店内でも悪い方で、会議で指摘を受けてしまい…。 それは仕方がない事。 売れ筋商品のサイズ切れが上手く補充出来なかったり、バーゲン品の品揃えがイマイチだったり、原因が分かりすぎていて、やっぱり自分の主任としての能力というか努力が足りないのかな…と思ってしまう。 打ち解けて話せるようになってきた貝塚課長にも、着任して早々に迷惑をかけてるなと思う。 課長の方が主任の私よりずっと上からのプレッシャーは大きい筈だから。 「原因と対策を検討して、今後に反映させて。」 課長は変わらぬ落ち着いた様子でそう言うと、ポンポンと私の肩を叩いてくれたけれど。 やっぱり出てしまう大きな溜め息。 ・
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