5 動き出す

3/14

1645人が本棚に入れています
本棚に追加
/335ページ
でも、落ち込んでいてもやるべき事はしっかりしなければ…。 昼間は接客しながら売場や商品を見直して、書類とかは少し残ってやっていこうと今日の予定をたてた。 「…なんか疲れた。」 事務所で売上動向を見たり、チラシの内容確認やらしているうちに、時計の針は9時を回っていた。 もう殆どの社員は帰った様で、パソコンの電源を落とすと、辺りが急に静かになる。 事務所の電気を消して、休憩室のロッカーの側の椅子に座るとつい独り言が漏れた。 メガネを外して、テーブルの上で組んだ腕に顔を埋めてしばしの休憩。 電車の時間までまだ余裕があるから、少しだけ…と思い目を閉じた。 どれ位時間が経ったのか、横に人の気配を感じて、はっと目を開ける。 …もしかして寝ちゃってた? 慌てて髪と口元を気にしながら体を起こし、横に立っているスーツ姿に目を向ける。 「あ、北島…。まだいたんだ。お疲れ様。」 「ああ、ちょっと売場直してた。…まだ落ち込んでるのか?」 「あー、うん、大丈夫。」 「まあ、そういう時もあるよ。今月また頑張れば。」 「…うん。」 そうなんだけど、先月の売り上げが良かった北島に言われると、なんだか…悔しいような気もして。 そう思ってしまう自分も嫌だ。 ・
/335ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1645人が本棚に入れています
本棚に追加