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「…あの背の高い奴、メガネ屋なんだな。アイツとは飲みに行くのに?」
「…何、言ってるの?」
「アイツがいるから、あのメガネ屋に行ってるのか?」
何でここで想さんの話が出るのか解らなくて、またイライラしてしまう。
「…いい加減にして。ルックメガネさんとは、想さんが来る前からの付き合いなの!想さんは関係ない。」
「…名前で呼ぶんだな。」
北島の形の良い口元がフッと笑ったように見えたと同時に、その手が少し下げられて私の伸ばした手にメガネが返ってきた。
ホッとした私が小さく息を吐いた瞬間。
ガシャン!
「…痛っ。」
私の両手首は北島の手に掴まれて、そのまま後ろのロッカーに体が押し付けられた。
「…田上。」
絞り出すような声で呼ばれた名前。
そして乱暴に重ねられた唇。
突然の出来事に固まった私。
…何で?
はっと思考が戻ってきて、私は顔を横に振った。
「…やっ」
一瞬唇が離れて出せた声はそれだけ。
押さえられていた手首がふっと軽くなったかと思うと、すぐに私の顔は北島の両手で固定されて、また唇が塞がれた。
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