5 動き出す

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「…あの背の高い奴、メガネ屋なんだな。アイツとは飲みに行くのに?」 「…何、言ってるの?」 「アイツがいるから、あのメガネ屋に行ってるのか?」 何でここで想さんの話が出るのか解らなくて、またイライラしてしまう。 「…いい加減にして。ルックメガネさんとは、想さんが来る前からの付き合いなの!想さんは関係ない。」 「…名前で呼ぶんだな。」 北島の形の良い口元がフッと笑ったように見えたと同時に、その手が少し下げられて私の伸ばした手にメガネが返ってきた。 ホッとした私が小さく息を吐いた瞬間。 ガシャン! 「…痛っ。」 私の両手首は北島の手に掴まれて、そのまま後ろのロッカーに体が押し付けられた。 「…田上。」 絞り出すような声で呼ばれた名前。 そして乱暴に重ねられた唇。 突然の出来事に固まった私。 …何で? はっと思考が戻ってきて、私は顔を横に振った。 「…やっ」 一瞬唇が離れて出せた声はそれだけ。 押さえられていた手首がふっと軽くなったかと思うと、すぐに私の顔は北島の両手で固定されて、また唇が塞がれた。 ・
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