6 雑踏

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もちろん北島だって凄く気まずそうにしてる。 多分謝りたいんだと思う。 私だって、本当は嫌だ。 友達として話したりご飯食べたりしたい。 だけど、今は無理みたい。 あの強引なキスは、本当に驚いて、 怖かった。 「…主任、本当にごめんなさい。まさかケンカになるなんて思わなくて…。」 考え込んでしまった私に菜々子ちゃんが狼狽える。 「あ、ううん、大丈夫。想さんたちと飲んだのも事実だし。…それに、確かに想さんとは、普通の店員と客の関係よりは、近いと思うから。」 最後の方は呟くように自分に言ってるみたいになった。 「主任、藤野さんの事…?」 …私にもよく分からない。 曖昧に首を傾げた私に苦笑する菜々子ちゃん。 「北島さんはナシなんですか?」 「…て言うか、」 私は気になっていた事を訊いてみた。 「北島って彼女いたよね?婦人服売場の可愛いコ。」 確か私が先輩と別れた頃には付き合ってたと思う。 「ああ、伊東さんですね、とっくに別れてますよ。彼女の方は未練たらたらみたいですけど。」 「そうなんだ。」 疎いな、私。 ・
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