6 雑踏

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気付くと課長が立ち止まって私を振り返っていた。 急いで足を進めて近付くと課長も前を向いて歩き出す。 …あ、でも前に笙子と休日に来た時よりは全然いいかも。行き交う人の間隔も広いみたい。 ちょっとホッとして、課長の斜め後ろで、クリスマスのディスプレイやショウウィンドウの服を眺めながら歩く。 時折、少し前を行く課長の背中を確認しながら、離れたら追いついて。 課長もたまに話しかけようとしてくれて、私が遅れているのに気付き待ってくれたりする。 「すみません。」 「いや。やっぱり人多いな。」 そしてまた歩き始めた私の目に入ってきたオシャレな親子連れ。 その子供の帽子やセーターがすごく可愛くて思わず足を止めてしまったのがいけなかったんだと思う。 すぐ横にあるお店から急に出てきた人影に気付いた時にはもう避けきれず、ドンッと突き飛ばされる形になった。 「痛っ…」 よろけたけれど何とか踏みとどまった私に降ってきた「ジャマ!」って言葉。 「ごめんなさいっ」 と謝ろうと顔を上げた時には、もうその人らしき背中は人混みの中だった。 ……鈍臭っ。 自分自身に苦笑いが浮かぶ。 「田上っ。大丈夫か?」 駆け寄ってきてくれた課長に苦笑いのままの顔を向けた。 「あ、はは。大丈夫です。すみません。」 相手のバッグが当たった腕がちょっと痛いけど、自分が悪いんだから仕方ない。 ・
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