6 雑踏

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そんなコトでも考えていなければ、課長といる後数時間を乗り切れない気がする。 一度離した手はもう繋げないから、駅の雑踏の中、ただ課長を見失わないように、早足で歩いた。 まだ夕方早い時間の特急電車の車内は空いていて、また私が窓側で並んでシートに座る。 電車が動き始めてすぐ課長は目を瞑った。 …頭が痛い。 都内や人混みに出ると何故かいつも。 自動販売機で買った水で鎮痛剤を飲んで、小さく息を吐いた。 「…頭痛いのか?」 静かにしたつもりだったが、課長は目を開けて私の顔と水を持つ手元を見た。 「あ、大丈夫です。いつものコトなので。」 「常用は良くないぞ。」 「はい。それ程では。」 「そうか…。人混みは苦手そうだから気を使い過ぎるんだろう。」 「…はい。あの、今日はありがとうございました。私、鈍臭くて。」 「いや。悪かったな、その、勝手に…。」 課長はちょっと顔照れくさそうな表情をした 「いいえ。そんな事ないです。」 良かった、普通に話せてお礼も言えた。 と思ったのに。 課長が変えた話題はよりによって…… 「…そういえば、北島と何かあったのか?」 ・
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