6 雑踏

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…私は何て答えれば? 「あんなに仲が良かったのに、最近一緒にいないし。」 「あ…、はい…。」 そっと様子をうかがうと課長は前を向いたまま。 「まあ、二人とも大人だから仕事に差し障りが出てるわけではないし。俺がどうこう言う事じゃないと思うけど。」 「……はい。」 「うん。…ただ、北島がね…」 課長の表情がふっと優しくなった気がした。 「本当に落ち込んでる。昨日も田上の方を見て、ため息ついてたよ。」 「……」 課長は北島の上司でもあり、同性の分、私より気心が知れて親しみがあるのだろうとは思う。 北島自身が人に好かれる本当に良いヤツだし。 課長が心配する気持ち、分かるけど。 …今、これ以上聞きたくない。 また、痛い。 胸が苦しくなる。 「それなりの理由があるとは思うけど。…田上、」 課長が私の顔を見た。 「北島の気持ちも…」 「分かりました。」 課長の言葉を遮るように被せた私の声は、硬く尖っていたと思う。 課長の驚いたような顔。 「…北島とは、そのうちちゃんと話そうと思ってました。」 「…ああ。」 「だけど、課長。」 ダメ、泣きそうだ。 「私には私の気持ちがあるんです。」 その時、課長がどんな顔をしたのかはわからない。 窓の方に顔を背けて、ギュッと目を瞑ってしまった私には。 ・
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