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少し間があって、隣から課長が体を動かした気配と
「…ごめん。余計な事だったな。」
沈んだトーンの声がした。
…ダメだ、私、大人気ないし、可愛気も、ない。
静かに大きく息をはいて心を落ち着かせる。
ゆっくり顔を戻して見た課長は、腕を組んで目を閉じ、何か考えてる風。
「…気を使っていただいたのにすみません。北島とは、四年間も友達ですから、きっと元に戻れると思います。」
「…そうか。」
目を開けた課長と視線が合う。
「…あの、課長。私、まだ頭痛がするので、少し寝てもいいですか?」
「ああ、いいよ。」
心なしか優しい声。
私は座席シートに沈めた体を少し窓側に向けて目を閉じた。
だけど眠れるわけはなくて。
もう一度目を開ければ、窓の外はすでに薄暗くなって、様々な灯りが流れていく。
時折クリアに窓に映る車内の様子。
やはり目を閉じる課長の横顔に指で触れても、窓ガラスの冷たさに何だかまた泣きたくなった。
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