6 雑踏

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「こんばんは。」 二人に挨拶をする。 「こんばんは、鈴さん。」 優しい声…。 課長の顔が想さんに向けられて、視線を感じたのか想さんも課長を見たのがわかった。 「鈴ちゃん、今日はどうしたの?」 そんな二人の間から投げられた声。 「都内に出張だったんです、展示会で。」 「そうなんだ。…こちらは?」 課長がはっとしたように想さんから店長に視線を移す。 「あ、上司です。」 「課長の貝塚です。」 課長は名刺入れから取り出した名刺を店長に渡してお辞儀する。 「10月に異動してきたばかりなんです。こちらの店長さんですか?」 「はい。ルックメガネの店長の磐田です。すみません、今、名刺を持ち合わせてなくて。こちらは社員の藤野です。」 想さんも頭を下げる。 「こちらにはまだ知り合いも少ないので、どうぞよろしくお願いします。」 「こちらこそ。都内はどうでしたか?……」 如才なく言葉を交わす課長と店長はやっぱり大人な社会人だな、と思う。 少し離れた所からぼんやり見ていた二人の姿が何かに遮られ急に見えなくなった。 ・
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