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私の中の想さんが変わっていく。
どうしたの、想さん。
…なんだか胸の奥が変。
「好人物、だな。磐田さん。」
声を掛けられて顔を上げると、斜め前を歩いていた筈の課長がいつの間にか隣に並んでいた。
「あ、はい。とっても好い人です。話、弾んでましたね?」
「ああ、磐田さんの人柄のお陰だろうな。最近の付き合いは仕事関係が殆どだから、こういう出会いは嬉しいよ。」
課長は殊の外楽しそうな顔をしている。
「なら良かったです。」
「それにしても随分親しいんだな?」
やっぱりそう思うよね。
「入社以来のお付き合いですし、実は私の一番の友達が店長と結婚したんです。」
流石に驚いている課長に、私が縁結んだんですよ、と笑うと、課長も微笑んでくれて、
…一瞬、見とれてしまった。
ダメなのに。
「彼は…」
慌てて目を逸らした私に言ったのか、独り言にも聞こえる声がして、もう一度視線を戻すと、私の顔を見ている課長と目が合った。
「え?」
今度は課長が視線を外して前を向く。
「あ、いや。…藤野くんだったかな。凄いイケメン、っていうか、うん、モデルみたいで驚いたよ。」
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