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『飲みに行く?』
『いや、メシ奢る。明日の夜でいい?』
『了解。』
課長との出張から数日後、北島が昼食を取りに行ったのを確認して私は誘いのメールを送った。
素っ気ない、いつも通りのやりとりだけれど、関係を修復したいと思っているのはお互いに分かったと思う。
これでなんとか元の関係に戻れるだろうとホッと息を吐いた。
今日のお昼は地下の食料品売り場に入っている豚カツ屋さんに頼んでおいたヒレカツ弁当を三階の休憩室で食べる事にした。
お肉好きの私はたまに無性にコレが食べたくなるのだけれど、一応、一緒に黒ウーロン茶など飲んでみたりする。
「お、ウマそうだな。」
お弁当持参の同僚と話をしながら食べていると、奥の事務所から出てきた貝塚課長が私の手元を覗き込んできた。
「美味しいですよ。課長も食べたい時には言って貰えたら注文しておきますから。」
「そうだな。今度田上が食べる時には声かけて。」
「はい、そうしますね。」
「ウマそうに食べるの見たら腹減ってきたよ。社食行ってくる。」
「はい、行ってらっしゃい。」
最近砕けてきた口調の課長との会話が嬉しくて困る。
程良い距離は取ろうと思ってるし、もちろん仕事モードの時はもっとキチッとした態度になるのは当たり前だけれど。
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