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「仕切り直し?」
聞き返すと、少し気まずそうな顔で北島は話し出した。
「…俺の気持ち、あれで分かったんだよな?」
「…うん。」
「本当はさ、俺だって、あんな形で伝えるつもりなかったんだ。田上に嫌な思いさせて…自分の馬鹿さ加減に呆れたよ…。」
自嘲するように北島がフッと笑う。
「焦ったんだ。他のオトコの存在に。」
「……」
「田上。」
「ん?」
「俺、やっぱり、ちゃんと、言葉で伝えたい。」
「…北島、でも、」
「聞いて。」
少し強い、でも切実な声に何も言えなくなり頷くと、北島は真っ直ぐに私の目を見つめた。
「俺はずっと前から、田上の事が好きなんだ。」
「……」
…何て言えばいい?
「そんな困った顔しなくていいよ。」
北島が笑う。
「やっと言えた。」
はぁ~っと息を吐いて、北島はコーヒーを口に運んだ。
「ごめん、冷めちゃったな。」
「大丈夫。」
渇いた喉にはちょうど良いよ…。
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