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北島があんみつの中に入ってた白玉を掬って口に入れるとごくっと飲み込んだ。
「…ずっとお前の事、見てきたんだ。ぽっと出の奴らなんかに簡単に渡すのは嫌なんだよ。」
ぽっと出、って。
…顔、熱い。
こんな風に北島が気持ち言ってくるなんて思ってもみなかったから。
「田上も食えよ。旨いよ、あんみつ。」
「あ、うん。」
それから暫く二人黙ってあんみつを食べて、冷めたコーヒーを飲んだ。
「…北島。」
「ん。」
「私、北島の事、嫌いじゃないし、寧ろ好きだと思うけど、だけど…」
「分かってるよ。友達として、だろ。」
肯く私に北島は笑ってくれた。
「お前はそれでいいよ。だけど、俺は女としてお前を好きだから、俺を男てして見て貰えるように頑張るつもりだから。よろしくな。」
「よろしくなって言われても…、」
「あ、もちろん、仕事中はわきまえて行動するから心配しなくていいよ。」
北島はそう言うと狼狽える私の顔をじっと見つめた。
「これで少しは俺の事意識してくれる、だろ?」
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