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課長は相変わらず、淡々と穏やかに、時に厳しく仕事をしている。
食事に行った翌日から北島と普通に接する様になった私に「良かったな」と笑顔を見せてくれたから、私の気持ちは何となく複雑。
課長は北島の告白を知らなくて、もし、知っても…同じなんだろうと思うと。
北島はあの告白が嘘の様に殆ど以前と変わらない、仲の良い同僚に戻ったようだけれど、時折送られる強い視線があの言葉を思い出させる。
でも取り敢えずは、平穏な日々が過ぎていた。
でも何故か。
「はあ……」
「随分おっきなため息ですねぇ。」
品出しをしていて気がつくと菜々子ちゃんが隣で笑ってた。
「どうかしたんですか?」
「ううん。…ただ何となく、すっきりしない感じなんだ。」
「明日の飲み会で発散させちゃいましょ?」
そうだ、明日の夜はいつもの飲み仲間との、一足早い忘年会という名の飲み会だった。
12月になるとやっぱりそれぞれ仕事が忙しくなるし、売り場毎の忘年会もあるから。
「楽しみましょうね~。」
「だね。」
菜々子ちゃんに頷きながら、私もそう思ってた。
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