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ゆっくりと目を開ける、気がついたら陽は落ち始めていた。
というかなんで俺は外にいるんだ? 整理しよう、電池を買いに行った、帰りに人生に絶望してしまったであろう女子高生に遭遇、鼻歌で説得、なんだかんだで成功、女子高生俺にのしかかる……ピンク色。
「あ! 気がついた!」
沈みかけた夕日を背景に女子高生が俺の顔を覗き込むように見つめていた。
それはなんとも幻想的で、俺からすれば絶対にありえない非現実的な光景だった。
そうだ、俺この子に蹴られて意識なくなってたのか。
「あの……命を救っていただいた恩人にあんなことを……すいませんでした」
「……大丈夫、たいしたことない」
実際は頭がガンガンするけど。
「君こそ、怪我ない?」
「はい! 私は大丈夫です」
そうか、ならとっとと俺はこの場から去るとしよう。
これ以上の面倒はごめんだし帰ってゲームをやらなければ。
俺は立ち上がり高架橋を下った。
「あの! ちょっと待ってください」
「なに?」
止められた、もう早く帰りたいんだが……
「なにかお礼をしたいんですが……生憎今財布を持っていなくて」
「いいよそんなの」
「でも!」
なかなかにしつこい女子高生だった。
「あのさ、俺になにか礼がしたいって言うなら帰らせてくれないかな?」
さすが俺、こんなことを言われたら大抵の人間は怒って立ち去るだろう。完璧だ。
「ダメです! 貸りは作りたくないんです!」
どうやら女子高生はしつこい+頑固でした。
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