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「貸しとかじゃない、目の前で死なれても俺の後味が悪かっただけだから」
そう言うと女子高生は黙って下を向いた。さすがに効いたか。
「私……本当は死ぬ気なんてなかったんです! 誰かにかまってほしかっただけ」
どうやらよっぽど病んでいるらしいな。
「なら街中にでも行ってきな、馬鹿な男がナンパでもなんでもしてくれるだろ」
我ながら冷たい! なんてクールなんだ俺。
「分かりました、そんなに恩返しを嫌がるというのなら諦めます」
いきなりあっさりと諦めたな、まぁそれでいいんだが。
俺はなにも言わず逃げるように高架橋を降りた。
女子高生も俺とは反対の方向に歩き出していた、これがギャルゲーならまだ次の展開が合ってもいいものだが所詮これは現実、俺は現実と二次元の違いがわからなくなるほど落ちぶれてはいない。
この話は俺の武勇伝として墓まで持っていくとしよう、それからピンク色も……
気がつけば陽は落ち始めて家々の灯りがちらほら着きはじめていた。
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