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「いらっしゃいませ」
夜、21時にオープンするのが基本だった。
時々、常連客から早めに連絡があると20時から開けたりもする。
「あ、一番乗りだ~♪」
そう言ってカウンターに座るのは常連客の一人、怜奈(レナ)だった。
少し濃いめの化粧に、クルクル巻き毛。
ネイルは気合いが入っていてコテコテしている。
見るからに、家事や炊事といったことはしなさそう。
「何飲む?」
「んーと…とりあえず、いつもの!」
彼女のとりあえずいつもの、はカシスウーロンだ。
手際良くカシスとウーロン茶を適当に割ってステアする。
(※ステア…混ぜる)
「どうぞ」
店のロゴが入ったコルク質のコースターを敷いてから出す。
「いただきま~す!」
ごくごく、と半分くらい一気飲みする怜奈。
「っあー!この為に仕事してる~!!」
「おっさんくさいよ(笑)」
「いいじゃなーい!仕事以外では自分を作りたくないの」
そーいう彼女の仕事はショップ店員。
いつもより甲高い声で「いらっしゃいませ~」とか言うヤツ。
同じ接客でも、全然違う。
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