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愚痴を吐き出すだけ吐き出して気が済んだのか、怜奈は2杯飲むと機嫌よく帰って行った。
時間は24時に差し掛かろうとしていた。
怜奈が愚痴を言っている間にも何組かのお客はきていたけど、怜奈より先に帰っていた。
この店は2軒目とか、一人で飲みたいとかそーいう人向き。
大勢でガヤガヤと飲む感じではなかった。
怜奈が帰ってから少し暇になる。
溜まっていた洗い物をして、乾いた布巾でグラスを拭いている時だった。
「まだ、いけますか?」
カランカランという音を立ててドアが開く。
女性が一人、佇んでいた。
それも、怒っているのか泣いているのかよく分からない顔で。
「いらっしゃいませ」
俺は何事もないように言った。
それが、俺と…
水川鳴海の出会いだった。
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