【第一章】皇子と執事は空を舞う

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「ガンマよ……本当にここがトーキョーなのか?」 漆黒のワイバーンの背中に乗った銀髪の少年は、呟くように静かに尋ねた。 オレンジ色に輝く東京タワーのてっぺんをゆっくりと旋回している彼等。 その眼下には大都会の夜景が広がっていた。 赤、黄、青、緑、橙……一千万以上の光が瞬く地上は、広大な花畑のようになっている。 その光を縫って、多くの人々がせわしく街中を徘徊しているのが見えた。 たまに車のクラクションが情けない音を発するのが聞こえる。 しかし、それだけ。 地上300メートルちょっとの空中はとても静かだ。 その静けさを振り払うかのように、少年は再び口を開いた。
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