【第一章】皇子と執事は空を舞う

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 そんなクロムをよそに、ガンマは夜間飛行物が周囲にないのを確認する。  そして、二、三度翼を羽ばたかせ、飛行体制を整えた。  ワイバーンは前足を持たない龍だ。  後ろ足と翼しかなく、ドラゴンよりも体が小さい。 その分、一振りでジャンボジェット機が破壊可能な風を生み出す強靭な翼と一ミリリットルで致死量に達する毒針が生えた尾を持つ。 ガンマが周囲を確認し、羽ばたいたのも、誰かに見つかる恐れがあるからではなく、上空での被害を出さないためだった。 「だから、東京特許許可局ですって。」 「だから言ってるじゃないか。 トーキョートッキョーキョキャキョキュっ!」 ガンマは何を言っても無駄だというように、首を左右に振る。
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