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悠「コート汚れちまった…。また洗わなきゃ」
芹「くそ、また負けかよ」
悠紀vs芹也。
勝敗はあっけなく着く。
審判の三里のジャッジによると、3回とも俺のストレートボールで勝利だった。
すっかり人気のなくなったグラウンドを後にし、俺たちは帰路に就く。
芹「あー疲れた…。明日も雪が残ってたら勝負だからな」
悠「なら俺は明日は休むかな」
三「じゃあ私が意地でも連れ出すね」
芹「おう、任せた三里。じゃあまた明日な」
三「うん。さよなら」
悠「…………」
一人だけ方向の違う芹也と別れ、俺と三里も自弥刀さんが待っているであろう時計店へと急いで帰る。
三「すっかり暗くなっちゃった。弥刀さんがお腹空かしてるだろうから早く帰らないとね」
悠「……ああ」
三「元気出して、悠紀」
悠「元気がないように見えるか、俺?」
三「イライラしてる」
悠「まあな。雪は嫌いなんだ」
冷たく重く降りかかる雪。
音もなく、ただ無機質に視界を遮る。
そうして世界を白く染め、いつしかあの大切な人を…俺の前から永遠に隠してしまうんじゃないか。
そう思うと不安だった。
悠「…昨晩も失敗だった」
三「大丈夫。絶対大丈夫なんだよ、悠紀。頑張って続けてれば、いつか必ず何とかなるんだから。…だから、学校休んだりなんかしちゃダメだよ」
悠「そうだな」
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