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静かな深夜の町。
雪は止んでいた。
明かり一つなく、不気味に佇む校舎。
小さな学校ということもあり、警備はいない。
あるのは簡単なセンサーが正門にあるだけ。
そしてこの時間帯は誰も中に残っていない。
俺は正門を迂回し、駐車場の冊を乗り越えて学園の敷地内に入る。
悪いことだというのは分かっている。
誰かに見つかれば警察、あるいは学校から何かしらの処罰が下るであろうことも重々理解している。
このことは三里も弥刀さんも知っている。
それを含め、彼女たちは俺に協力しているのだから。
わざわざ学校側にバラしたりはしない。
…たとえ停学のリスクを負おうが、俺はこうしなければならない理由がある。
昼間雪合戦をしたグラウンドの一角。
路地裏のような通路を更に進んだ先にあるのは、大きな時計塔。
校舎より古い、レンガ造りの建物。
なぜかずっと昔からこの学園内にあり、この町で一番背の高い建造物だ。
地上から50mの壁面には巨大な時計盤が埋め込まれ、噂によると、その時計が止まったところを見た人は一人もいないらしい。
今も毎日毎日、一度も壊れることなく現役で動き続ける謎の時計塔だ。
俺はそんな時計塔の扉の鍵を開けると、躊躇いもなく中へ入る。
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