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低く不気味な機械音が響く塔内。
ほぼ階段しかない狭い経路を伝い、天辺の展望室へ。
部屋には錆び付いた鋼鉄の扉が。
その扉を、耳障りな音を立てながら引き開く…。
?「こんばんは」
同時に…そこには場違いな、1人の少女の声が小さく響く。
悠「ああ。今夜も頼む」
展望室の窓際に腰掛ける、その少女。
真っ白な髪。紅い眼。手には大きな銀色のハサミ。
闇に溶け込むような黒い装束。
正気の感じられない、夜空を見つめる冷たい表情。
月明かりを浴びるその姿はまさに…死神だ。
悠「…今夜の“刻(こく)”は?」
?「420秒」
死神は応えながら、どこからか手のひら大の砂時計を取り出す。
ただし中身は空っぽ。
死神がその砂時計に手を翳すと、宝石のような輝きと共に砂時計が砂で満たされる。
?「…充填できたわ」
悠「こっちも、準備完了だ」
俺はその間に時計で時間を合わせ、手に地図を持つ。
時間というのは時刻のことではない。
腕時計の機能を使い、420秒のカウントダウンをセットしたのだ。
後は腕時計を見つめ、日付が変わる瞬間を待つ。
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