■プロローグ

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低く不気味な機械音が響く塔内。 ほぼ階段しかない狭い経路を伝い、天辺の展望室へ。 部屋には錆び付いた鋼鉄の扉が。 その扉を、耳障りな音を立てながら引き開く…。 ?「こんばんは」 同時に…そこには場違いな、1人の少女の声が小さく響く。 悠「ああ。今夜も頼む」 展望室の窓際に腰掛ける、その少女。 真っ白な髪。紅い眼。手には大きな銀色のハサミ。 闇に溶け込むような黒い装束。 正気の感じられない、夜空を見つめる冷たい表情。 月明かりを浴びるその姿はまさに…死神だ。 悠「…今夜の“刻(こく)”は?」 ?「420秒」 死神は応えながら、どこからか手のひら大の砂時計を取り出す。 ただし中身は空っぽ。 死神がその砂時計に手を翳すと、宝石のような輝きと共に砂時計が砂で満たされる。 ?「…充填できたわ」 悠「こっちも、準備完了だ」 俺はその間に時計で時間を合わせ、手に地図を持つ。 時間というのは時刻のことではない。 腕時計の機能を使い、420秒のカウントダウンをセットしたのだ。 後は腕時計を見つめ、日付が変わる瞬間を待つ。
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