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まだ、昼間。
王国首都の一角。灼きレンガで作られた三階建ての建物。
ギルド“優しい剣”の事務所だ。
その屋上。魔法陣が描かれている所が輝く。そして、男が一人転移してきた。
と、同時に男は倒れ込んだ。その口元からよだれがたれる。
小さな、くーくーと言う寝息がもれる。
それは、一五分後、別の男が転移してくるまで続いた
転移してきた男は、鳥のような仮面を付け、赤く長い髪を後ろで束ねていた。胸当てを付けている以外はシャツとズボン、ブーツと軽装だ。いずれも赤い色で統一している。背中に剣を背負い、腰に袋を下げている。
赤つくめの男はアルムの頭を踏んだ。
「おい、邪魔だぜ。アルム。せめて屋根がある所で寝ろ」
アルムは、足の裏を紙一重で避けて答える。
「うう、ナバルさん、後少し休ませて下さい。かろうし寸前なんです」
「それだけ口が回るなら大丈夫だ。あと三日間は全力で戦える。早くマリアちゃんに報告しにいけ」
アルムは力無く立ち上がった。そしてナバルと共に階段を下りる。
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