いつもこうだからやっかいなんだ。

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「ああ、何とか間に合いました」 男は、非常に小さく疲れた声でつぶやいた。 彼はギルドのハイランカーであろう。身分を表す丸い目の仮面をつけ、マントにくるまっている。マントの隙間からは剣の柄が二つ見えている。 「もしかして、“最強”か?」 「はい、あ、はじめまして。“千の耳”の“豪腕”さんですね」 彼は頭を下げた。 「私が、“優しい剣”のアルム、“最強”です」 アルムは握手しようとした。しかし、少しよろけて倒れる。 アルムは、倒れたままバーンに尋ねた。 「五分、いえ、三分だけこのままにしてもらえませんか?」 バーンは激しく怒った。 「バカやろう! 奴らはすぐそこまできてるんだ。戦わないと死ぬぞ!」 バーンの怒号に、アルムは飛び起きた。そして双剣を抜く。 「申し訳ありません。皆さんの不安も考えず。ただ、流石に三連戦は辛いので、少し休みたかったのですが……」 近くから轟音がする。ゴブリンの大軍が近づいてくるのだ。
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