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少女は恐怖した。目の前にいるのは、さっきまでいた男に間違いない。しかし、姿が違う。背中には、コウモリの様な翼、腕から手は黒に変色し鎧の様にゴツゴツしていた。その右手には男の背丈と同じぐらいの大剣があった。
異変は、それだけじゃなかった。少女は動くことができなかった。
『無駄ダ。ソンナ攻撃ジャ私ニハ、トドカナイ。』
男は少女をあざ笑うかのように言う。
少女は平然をよそおって口を動かす。
『あんた、悪魔の末裔か、、それならなおさらアウラ様の居場所を教えることはできないわね。』
少女の下にまた金色の陣が現れる。解除魔法と察した男は、少女の頭に空いてる左手をかざす。次の瞬間、少女は黒い霧に包まれた。
『きゃぁぁぁーーー、、、。』
静かな路地に少女の悲鳴が響く。数秒後、霧はなくなり少女だけだけが残っていた。翼と剣は黒くくすんでいき、金色の光になって四散していった。そのとたん少女は膝からくずれ地面に倒れこんだ。
『お前…私に、何を……した…』
『私ノ力デ、オ前ノ天使脈ヲ封印シタ。マァ、ソンナコトドウデモイイ。サァ、アウラノ居場所ヲ言エ。』
男は少女の首をもち、その身体を軽々と持ち上げた。少女は抗おうと試みたが身体に力が入らない。苦笑しながら少女は言う。
『さっきも言ったでしょ…あんたが悪魔ならなおさら……』
そこで言葉は切れた。男が少女を投げたのだ。少女は壁に叩きつけられ嗚咽をもらし、人形のように倒れた。
『ケホッ、ケホッ…お……お前っ。』
少女の双眸で男をにらみつける。男はその姿を鼻で笑い、
『まぁいいだろう。お前の格好でアウラの居場所は絞られるだろう。』
そういって男は路地奥の暗闇にきえていった。
『アウラ様。お逃げください。奴がそちらに向かっています。』
一筋の光を飛ばし、翼を失った少女は力尽きた。
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