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翌日、目を覚ました俺は部屋で一人チェスに励んでいた。
今日から俺の主君ライフが始まる。さて、これからどんな風にあいつらを躾けていこうか…?
それを考えただけで思わず口元が緩む。
しかし…腹が空いてきたな…。時間を見ると、ちょうどそろそろ朝食の時間だ。
すると、タイミング良く、扉をノックする音が聞こえる。
俺は扉の方に顔を向け、
「入れ」
と、言い放った。
扉が開き、頭を下げたクレールが俺の部屋に一歩、足を踏み入れる。
「ニコラス様、朝食の準備が出来ました。いつものように、こちらでお召し上がりになられますか?」
クレールの問い掛けに、俺は首を大きく横に振ってやった。
「親父とレイナルドは食堂にいるのか?」
「え?ええ…はい、そうですが…」
ふむ、そうか。なら食堂に行くとするかな…。
観客がいた方が、俺の家来も、家来としての自覚が出てくるだろうしな。
俺は椅子から立ち上がり、クレールの前に立つ。
「今日は食堂に行く。あと、他の家来たちも呼んでこい。これから俺が朝飯を食う時は全員集まるように、そう言っておけ」
「かしこまりました」
「俺は着替えてから食堂に行くから、飯の準備しとけ」
話しながら俺はクローゼットに歩を進める、が、クレールは部屋を出ていこうとせず、突っ立っていた。
ん?なんで行かない?…とっとと行って、この俺のために早く準備をしろよ。
俺はチラ、とクレールを横目で見る。
「なんだよ?」
俺が冷たく言えば、クレールはいつもの無表情のまま口を開いた。
「はい、ニコラス様のお着替えのお手伝いを」
おい、何を言ってんだこいつは…。
着替えくらい、一人で出来るんだよ。何歳だと思ってんだ。
だが、そうだな…。面白いので手伝わせてみるか。
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