255人が本棚に入れています
本棚に追加
大瀧は窓の外を見る。
既に太陽は沈み、小焼けの時間帯になっていた。
大瀧は今まで起こった事全てを思い出す。
コートから針状の物が大瀧と斎藤の自転車をパンクさせた。
大瀧が振り下ろした鉄パイプが穴だらけになった。
男が大瀧の頭を掴んだ時に一度は針を発射させたが、すぐに消えた。
針は四方八方から襲ってきた。
男は時間の無さに焦っていた。
大瀧は頭の中で全てを整理する。そして、一つの仮定を作った。
「いや、いやいやいやいやいやそれはないって!?」
『超能力の類は信じる?』
「…くそっ、やってやらぁ!」
大瀧はトイレに逃げた。
斎藤は廃ビルを抜けて病院へと走っていた。
「錐さん!しっかり!」
笠松は斎藤の肩を叩く。
「ちょっと…下ろして…。」
「え?あ、はい!」
斎藤はその場に笠松を下ろす。
笠松は近くの地面に触れる。
『反射(リフレクション)』
笠松の触れる地面に亀裂が走り、それと同時に笠松の怪我が消えた。
「な、なんですかこれ!?」
笠松は立ち上がる。怪我は一つも見られなかった。
「戻るわよ。雁真が危ない。」
呆然と立ち尽くす斎藤をおいて笠松は廃ビルへと走った。
男は大瀧を追って二階に上がる。
日が沈み、暗くなったので男は携帯電話の画面の光で辺りを照らす。
「どこだ。隠れてないで出てこい。」
トイレに窓は無く真っ暗だった為、男の照らす光は目立っていた。
大瀧は機会を窺っていた。
その時、ガタンと音がした。
大瀧の心臓の鼓動が速まる。
「そこか。」
男は音のした方に明かりをもっていく。
男の向いた先に大瀧がいた。
「やべっ!」
「終わりだ。」
男は針を大瀧に放つ。
しかし針は大瀧に当たる事なく途中で向きを変えて男に突き刺さった。
「な…に…?」
男は倒れる。
大瀧は男の後ろから現れた。
「あっぶねえなぁ。ま、言われた通り串刺しにしてやったぜ。」
大瀧は男の携帯を閉じ、男の正面にあった『鏡』に置いた自分の携帯を取る。バイブ機能でまだ震えている。
「鏡に映った俺を攻撃しやがって。てめえには色々と教えてもらうからな。」
大瀧は男を背負って日陰を歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!