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大瀧は遠藤を見つめる。
「てことは他の三人も能力者って事っすか?」
「ああ。俺の能力は面倒だからテレパシーとしておこう。田中の能力は蝋だ。」
田中は大瀧の手に触れる。
瞬間、大瀧の手は蝋人形のように光沢を放った。
「うあぃっ!?」
「動かすなよ、バラバラに砕けるから。」
田中がもう一度触れ、大瀧の手は戻った。
「俺は触れた物を蝋に変えるって能力。案外応用が効くんだよこれが。」
「僕のは実際に体験してもらいましょう。」
陸舘は指を鳴らす。
瞬間、部屋が遊園地に変わった。
「僕の能力は異空間を創り出すこと。この中なら僕が考えた事全てを実行する事ができるんだ。」
陸舘は指を鳴らし、世界を戻す。
「それと、錐ちゃんにもあったよね。」
笠松は頷く。
「あ、そうだよ!いきなり怪我治ったしやっぱあれって能力!?」
遠藤は頭を掻く。
「錐ちゃん、説明頼めるか。」
「分かった。」
笠松はポケットに両手を入れる。
「私の能力は『能力を創る能力』。」
「能力を、創る…?」
「創った能力は一度だけ使用可能。使ったらもう一度創らないといけなくて、今はまだ簡単な能力しか創れないし1日に2つまでしか出来ないの。」
笠松は両手をポケットから出す。
笠松の手は光っていた。
「今は試しに光る能力を創ったわ。あの時は自己治癒能力を極端に上げただけ。傷は残ってるわよ。」
大瀧と斎藤は口をだらしなく開けて固まっている。
「これが能力というやつだ。俺はこれ全体を称して『JACK(ジャック)』と呼んでいる。今のところ、ジャックは特定の人間がある時点を境に目覚める事が分かっている。」
「ある時点?」
「人が死を感じた時だ。究極の防衛反応ととっていいだろう。実際に俺の学生時代に高校にテロリストが侵入し、学校内全員が能力を発動した事がある。」
「凄まじい高校生活っすね…。」
「と、言うことで先に言っておくが雁真君は能力を持っているはずだ。」
大瀧は自分を指さす。
「俺が?なんで?」
「雁真君の両親、大瀧詠一さんと島井歩美さんも能力者だったからな。」
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