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大瀧は笑う。
「そんなわけねえだろ。んな奇怪現象起きたことねえぜ。」
「ああ、俺が消したからな。」
「は?」
「その話は置いておき、雁真君もコートの男との戦いで死ぬ寸前まで追い詰められたろうからいつか能力が目覚めるはずだ。」
「んじゃ、匠は?」
「…よし、その話も含めて三人に頼みたいことがある。」
遠藤は座り直す。
「創が二人の担任になったのには理由がある。二人がいるクラスは全員能力を持っている。」
斎藤は頭を押さえる。
「意味わかんねぇ…。」
「分からなくていい。だが聞いてくれ。あのクラスは異常だ。理由は今は話せないが皆、能力を持ちながらも隠している。いつ何が起きてもおかしくはない。そこで創と俺で君達をあのクラスに置いたんだ。」
「は?てかなんで遠藤さんがそんな事決めれんだよ。」
「俺があの学校を作った。いうなれば理事長だ。」
「へえっ!?」
笠松を含めた高校生三人は声を上げて驚く。
「どんだけ金かかったんだよ!」
「…何十億だったか。覚えてないな。その話はどうでもいい。三人、特に雁真君と斎藤君だが、クラスの人と能力を調べてもらいたい。そして、善悪の判断は二人に任せる。」
「任せるって?」
「もしもその人間が危険じゃないと思ったら報告は能力ありとだけ言って後は報告しなくてもいい。危ないと感じたら俺に言ってくれれば能力をその人から取り除く。」
「なるほど。てかそんな事できるんすか。」
「ああ。…最初は女子の方がいいな。善だと思う女子を味方にすれば他の女子相手にも近付ける。」
大瀧は折咲を思い浮かべる。
「そうっすね…。」
「任せていいか?」
「俺達にメリットが無いんすよね。」
帰りたい斎藤をよそに大瀧は挑発的な態度で遠藤を見る。
「俺がこれやって何になるんすか?別にどうでもいいんすけど。」
「それもそうだな。じゃあ一度だけやってくれ。報酬は三人の好きな物をやろう。」
「よっしゃ決定だ。その言葉忘れんじゃないっすよ。」
三人は遠藤達と奇妙な約束をして帰った。
梓汰民は夕食作りにとりかかる。
田中は遠藤の肩に手を置く。
「なんだ?」
「なんかあの三人さ、中学時代の俺達に似てるよなー。」
「…ああ。」
遠藤は中学時代の遠藤快、田中直哉、そして桜楓(さくら かえで)を思い出した。
その三人の意志は今、大瀧雁真、斎藤匠、笠松錐に引き継がれた。
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