睡眠という概念と動作という時間

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放課後、大瀧と斎藤は昨夜大瀧が襲われた踏切に行った。 踏切には特に変わった点はない。 「血の跡とかありゃ良かったんだけどなー。」 「そんな呑気に言う台詞じゃないって事だけは今の俺でも分かるぞ。」 「錐がいなかったってのも気になるんだよな。俺は確かにここであいつに助けられた筈なんだけどなー。」 「まさかの夢オチなら本気で怒るからな。」 「そんなにふてくされんなよ。…よし、今日の夜八時にもっかいここに来てみる。」 大瀧の提案は斎藤の予想したものだった。 「今度も殺されるつもりか?せわしねえな。」 「てことで、匠も遠くで見張ってて。七時半くらいにもっかい集合な。」 「了解。んじゃな。」 「おう。」 大瀧と斎藤は別れた。 大瀧が家に帰ると玄関に見知らぬ靴が置いてあった。 「母ちゃん、誰か来てんの?」 「雁真の友達っていう女の子が来てるわよ。部屋で待ってるから。」 「女子?誰だろ。」 雁真が自分の部屋に入ると折咲千鶴が床に座っていた。 「えっ、千鶴ちゃん?なんで?てか、家知ってたん?」 「う、うん…。」 大瀧は鞄をベッドに放り投げ、机を挟んで折咲の向かいに座る。 「あれ、ようやく昨日の事を謝りに?」 「やっぱり昨日何かあったんだ…。」 「ん?」 折咲は大瀧の手を握る。 「おふっ!?」 「雁真君、超能力がなんとかって言ってたよね!?」 「お、おう…。」 折咲は今にも泣き出しそうな顔で大瀧を見つめる。 「助けて…!」 「……はい?」 折咲は大瀧の手を離す。 「実は、私にはそういった能力みたいなのがあるの。幾つもの病院に行ったけど何も分からなくて…。それで、昨日雁真君が超能力の話をしだしたからもしかしたらと思って。」 折咲千鶴は既に能力が目覚めていた。
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