睡眠という概念と動作という時間

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折咲の髪の毛が異常な速さで伸び始め、折咲を包み始めた。 大瀧は一歩退いたが、遠藤はスタスタと折咲に歩み寄る。 遠藤は折咲の髪の毛に触れる。 「鎖や柱にも巻き付いているな。」 髪の毛は柱を含め、折咲を包んだ。 髪の毛は次第に形を変え、真っ黒な服になった。 折咲は鎖を握る。 鎖は嫌な音をたてながら変形し、粉々に砕けた。 「これはマズいな。」 遠藤は目を瞑る。 「…ダメだ、能力が効かない。」 折咲は黒い服を着た状態で遠藤の前に立つ。 【大瀧…雁真…。】 折咲の声ではない。 【大瀧…雁真…。】 遠藤と田中は折咲の前に立つ。 「颯。」 「了解。」 陸舘の操作で白い空間の壁から沢山の柱を出し、折咲を攻撃する。 しかし、折咲はその全ての柱を殴り壊す。 「あらら、僕の能力が効かないや。」 「やはり能力無効化か。なら力づくで抑えるしかない。」 笠松創が折咲の前に立つ。 「なら僕がやるよ。こういうのは久々だけどね。」 【大瀧…雁真…。】 折咲と大瀧は目が合う。 「あ、やべ。」 【雁真ー!】 折咲は大瀧の下に走る。 「君の相手は僕だよ。」 笠松創は折咲の右腕をとり、自分の体ごと折咲を回す。 折咲が倒れたところを見計らって右腕を即座に折る。 そのまま折咲の首とみぞおちを足で踏んで直立した。 「これで少しは大人しくなるかな。」 大瀧と笠松錐は驚いている。 「凄い…。」 「おっちゃんハンパねえ。てか生徒に容赦ねえ…。」 折咲が少しでも動こうとすれば笠松創は踏み潰した。 「でも二十人も殺してきたんだ。こんな簡単じゃないよね。」 笠松創は右手で折咲の顔を掴み、地面に叩きつける。 ゴンという鈍い音が部屋に響く。 その時、折咲の髪の毛が笠松創の右腕に巻きつく。 「なんだ!?」 そして髪の毛が笠松創の右腕に食い込んだと感じた瞬間、笠松創の右腕はもぎ取られた。
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