睡眠という概念と動作という時間

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遠藤は不敵な笑みを浮かべる。 「断言する。君の攻撃は俺に当たらない。」 遠藤は折咲から距離をとる。 「よし、じゃあ確認いこうか。田中。」 「へーい。」 田中は蝋でナイフを作り、遠藤に投げ渡す。 「キレ味は最高だぜ。」 「助かる。」 遠藤はナイフを受け取って折咲の髪を切ろうとするが、髪の毛に触れた瞬間にナイフは溶けた。 「髪の毛にも能力は通じないか。まあ問題ない。」 遠藤は本物のナイフを取り出し、襲い来る髪の毛を切る。 髪の毛は遠藤の手の平で暴れたが、次第に動きは弱まり動かなくなった。 「トカゲの尻尾のようだな。それにナイフも刃が欠けた。」 遠藤はポケットから瓶を取り出し、折咲の髪の毛を入れる。 「よし、じゃあ次だ。」 遠藤はいきなり折咲に近付き、みぞおちを殴る。 遠藤の拳の勢いは黒い服に吸収される。 「…マズいな。」 拳は黒い服に埋もれた。 身動きのとれない遠藤に髪の毛は容赦なく襲いかかる。 「遠藤さん!」 笠松錐は遠藤に近付く。 遠藤は両足で髪の毛を全てはじく。 「心配はいらない。断言してしまったら実行しないといけないと思っている。それで、錐ちゃん。これを受け取ってくれ。」 「え、はい。」 遠藤は笠松にビンを投げ渡す。 「お母さんに渡してくれ。今すぐお願いできるか?」 「え、でも…」 遠藤は折咲の黒服から腕を抜き、距離をとる。 「頼む。こっちの心配はいらない。」 「う、うん。分かった。」 陸舘は笠松錐を異空間から出した。 「さて、ここからは男だけで相手だ。」 【皆…殺す…。】 「俺達全員が標的になったか。」 戦い慣れている遠藤達をよそに大瀧だけが混乱していた。
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