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遠藤は折咲に幾つかの質問を投げかけていた。
「錐が帰ってきたら確認したいんだが、もう一つ質問させてくれ。これが最後だ。」
遠藤は疲れきった折咲の顔を見つめる。
「最初に犠牲になった親友は男だった、違うか?」
「…なんで分かったんですか?」
「男、だったんだな。ならいい。あとは二人の帰りを待とう。」
遠藤が最後の質問を終えた時、大瀧達が中に入って来た。
「斎藤匠君も一緒なのか。」
「いやぁ、匠もなんか能力が芽生えたらしくてっすね。」
遠藤は息を吐く。
「一日に二人も発見するとはな。なかなかの好成績だ。それで、斎藤君は事情は聞いたか。」
「はい、聞きました。」
「それに加えて今さっき分かった事を話そう。錐ちゃん、髪について分かったか?」
「特に変わった事は無いって。」
「そうか。何も変わりない事が分かったのは大きい。じゃあ俺達の情報も話そう。」
遠藤は大瀧が走り去った後、笠松創、田中直哉、遠藤快の順に五分ずつ眠った。
大瀧の話によれば折咲から死刑宣告を受ければ死ぬ夢を見る。しかし実際に死ぬ夢を見たのは田中だけだった。
次に、遠藤は折咲の髪の毛に関する思い出がないか聞いた。しかし特に思い出はなかった。次に、遠藤は被害者である二十人について聞いた。その際に二十人に共通点が見つかった。それは全員が『男』だという事だ。
同じクラスメイトや医者、叔父など被害者の年齢や職業には共通点が見られなかったが、男という事だけは共通していた。
ここで遠藤は一つの仮定を立てた。
『折咲千鶴は自分をよく知る異性を殺す』
しかしこれだけでは弱い。次に、田中直哉にも死の夢が現れた事に着目した。
田中の性格はフェミニスト、女性の事は皆好きというような人物である。大瀧雁真もそれに近いだろう。
遠藤に恋愛感情は存在しない。
ここから推測する事、それは『折咲千鶴の事が恋愛的に好きな異性を殺す』という事だ。
恋愛に絞った理由は折咲の両親が死んでいない事にある。家族愛と単なる恋愛感情は別ととらえた。
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