睡眠という概念と動作という時間

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遠藤は改めて大瀧を見る。 「雁真君に斎藤君、能力の事は信じたかな。」 「ああ、まあな。」 「なら、俺の能力を言おう。俺の能力は少し特別でな。驚くなよ。」 「今更何聞いても驚くかよ。」 遠藤は少し笑う。 「ならいい。俺の能力は『能力を複数所持する能力』だ。」 大瀧は平静を装う。 「…それで。」 「俺は現在八つの能力を持っている。今からその中の一つを使うが、雁真君、任せられるか。」 大瀧には笠松の言っていた黄金世代の意味が少し分かった気がした。 「なんで俺なんだよ。」 「雁真君に頼みたい。大事なクラスメイトだ。それに千鶴ちゃんたっての願いだ。」 大瀧は折咲を見る。 折咲はゆっくり頷いた。 大瀧の闘志に火がついた。 「っしゃらー!やってやるっすよ!」 「もう一人余裕があるが、…匠君、その能力が知りたい。付いて来てくれないか。」 「いいですけどどこに行くんですか?」 「千鶴ちゃんの頭の中だ。正確には意識内。二人を送った後、俺がこっちに戻って千鶴ちゃんを眠らせる。三人でもう一人の千鶴ちゃんと話をしてくれ。」 「なんかよく分かんねえけど了解!」 四人は手を繋ぐ。 「じゃあ行くぞ。先に言っておくが意識内で死んだら脳死で実際に死ぬからな。死だけはどうにもならない。」 「え…」 遠藤は折咲の額と自分の額を合わせ、四人は折咲の意識の中に入った。 四人の体はその場に倒れ、動かなくなる。 四人の意識は折咲の脳内にあった。 そこは地平線のない真っ白な世界で四人以外に色と呼べる物がなく、気が遠くなりそうだった。 「すっげえ…。」 「じゃあ俺はここから出るから三人で場を繋いでいてくれ。」 遠藤は無事に脳内に入れた事を確認し、その場から消えた。 大瀧と斎藤はその場に座る。 「あー、疲れた。こりゃぜってー明日学校休むな。」 「なんで二人はそんなに驚かないでいられるの?」 「んー、何度も死線をくぐったっつうか、簡単にいやぁ明日があるって思ってるからじゃねえかな。」 「…二人は強いね。」 その時、場に一人増えた。
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